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『ぶらりユーラシア 列車を乗り継ぎ大陸横断、72歳ひとり旅』 『2050年、 未来秩序の選択 「アングロサクソンの時代」から 「地球協同体」へ 』ほか

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なんてうらやましい! 旅程、写真など圧巻の一冊
評者/ノンフィクション作家 梯(かけはし) 久美子

『ぶらりユーラシア 列車を乗り継ぎ大陸横断、72歳ひとり旅』大木 茂 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] おおき・しげる 1947年生まれ。72年、早稲田大学理工学部卒業。写真家。雑誌、書籍の写真ページ、映画のスチル写真を担当。著書に『やきものの里・雑器帳』『ヨーロッパの鉄道撮影ガイドブック』『ヨーロッパ汽車の旅』『写真集・汽罐車』など。

読み始めてすぐに「こんな旅がしたい!」と思い、読み終わったときにはしみじみと「こんな紀行文が書きたい」と思った。旅する力、というものを備えている人がいて、この本の著者は間違いなくそのひとりだ。

著者は鉄道旅をこよなく愛する写真家。2019年8月から11月にかけて、ユーラシア大陸を列車で横断した。72歳の独り旅である。

「大陸横断の列車旅」で思い浮かぶのはシベリア鉄道だが、著者が選んだのは、シルクロードに沿って列車を乗り継ぎ、中央アジア、イラン、トルコをへてユーラシア大陸西端のリスボンに至る旅だ。

冒頭に、そのルートを示した大きな地図がある(本書では、読者が「ここで地図を確認したい」と思うタイミングで、絶妙な縮尺の地図が差しはさまれる)が、これを見ただけで、「こりゃ大変だ……」とため息をつきつつ、「なんてうらやましい!」という胸の高鳴りを感じた。何度も国境を越え、列車を乗り換える煩雑さを心配する常識人としての思いと、それでこそ鉄道旅だという鉄道オタクとしての思いが交錯するのだ。

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