2021年のノーベル経済学賞受賞者が、米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・カード教授、米マサチューセッツ工科大学のヨシュア・アングリスト教授、米スタンフォード大学のグイド・インベンス教授に決まった。
データから因果関係を測る「因果推論」の手法を洗練させ、現在も広く使われる枠組みとして確立したアングリスト氏とインベンス氏の業績について、アングリスト氏と共同研究も行っているイエール大学助教授で起業家の成田悠輔氏に聞いた。
成田氏は労働・教育経済学と計量経済学・因果推論の専門家だ。
──アングリスト氏とインベンス氏の確立した手法によって、経済学者は多くのテーマで「因果関係」のインパクトを正確に測ることができるようになったと(前編はこちら)。
因果関係のゴールドラッシュが起きました。前編で解説した「操作変数法」という単純明快な手法を当てはめれば、面白く重要な効果が測れる。それに気づいた研究者たちが、1990年代から現在まで文字どおり何万本もの論文を書いたからです。
「教育の絶対量は将来の収入によい影響を与える」
「教育には効果を持つものと持たないものがあり、少人数学級や民営の公立学校などは学力に目覚ましい効果を持つことがある一方、単なる有名エリート進学校などは効果を持たないことも多い」
「ヨーロッパ的な政治制度は経済成長によい影響を与える」
「医療保険への加入は健康と精神状態によい影響を与える」
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
登録は簡単3ステップ
東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
おすすめ情報をメルマガでお届け
無料会員登録はこちら
ログインはこちら