2021年のノーベル経済学賞受賞者が、米カリフォルニア大学バークレー校のデビッド・カード教授、米マサチューセッツ工科大学のヨシュア・アングリスト教授、米スタンフォード大学のグイド・インベンス教授に決まった。
データから因果関係を測る「因果推論」の手法を洗練させ、現在も広く使われる枠組みとして確立したアングリスト氏とインベンス氏の業績について、アングリスト氏と共同研究も行っているイエール大学助教授で起業家の成田悠輔氏に聞いた。
成田氏は労働・教育経済学と計量経済学・因果推論の専門家だ。インタビュー後編「ノーベル経済学賞は現実世界に役立つのか」はこちら。
──今回のノーベル経済学賞の受賞者、アングリスト氏とインベンス氏の功績について教えてください。
アングリスト氏とインベンス氏は、「因果関係を分析する手法への貢献」により共同で受賞しました。「因果関係」、つまり物事の原因と結果を解明するための、単純明快で、幅広く応用可能なツールを作ったのがこの2人です。
──具体的には?
まず、「人間は物事の間の因果関係を知りたい動物だ」ということがあります。物心ついたときには世界を原因と結果の束として見る習慣ができていますし、大人になるにつれ、悪い結果の責任や原因を他人や社会に押しつける癖がついてしまうものです(笑)。
個人、会社、社会などさまざまなレベルで、ある対策や投資があるアウトカム(結果)に与える影響、因果関係を測りたい。そうしたニーズは経済学に限らずどこにでもあります。コロナ禍の中でワクチンやマスク、ロックダウンが感染状況に与える影響を知りたいというのもそうです。
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