富裕層や大企業に寄付を求める「第3次分配」。政府は公平な社会をうたうが、困惑と反発が広がる。
中国政府が国内の大企業や高額所得者に自発的な寄付を求める「第3次分配」を提唱し始めたことに、困惑と反発が広がっている。企業や富裕層からは「寄付に名を借りた事実上の増税だ」との声が上がる。固定資産税や相続税、贈与税など資産課税の導入も絡んで、議論を呼びそうだ。
第3次分配とは1990年代、中国の経済学者が提唱した理論で、公正な富の分配を実現するには3回の分配が重要だとする。
第1の分配は企業活動や個人の労働による所得の分配で、成果に応じ、市場原理にのっとり配分される。そこでは当然、格差がつく。第2の分配は政府による調整で、税や社会保険などで行われる。政府が税金や社会保険料を徴収し、公共事業や社会福祉などに投じることで分配の偏りを是正する。
そして第3の分配は一定以上の利益を上げた企業や個人が自らの所得から寄付を行い、公益性の高い分野に役立てる。ここでは自発性、道徳的視点が重視される。
8月半ば、習近平国家主席が中国共産党の重要会議、中央財経委員会で「共同富裕(みんなで豊かになる)」の実現を掲げる中、従来の第1、第2の分配に加え、第3次分配が重要だと指摘したことで一躍注目を集めた。
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