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『超(スーパー)耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」』 『救国のアーカイブ 公文書管理が日本を救う』ほか

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新抗菌薬開発の苦闘をつづる 人類に迫る“楽園追放”の時
評者/サイエンスライター 佐藤健太郎

『超(スーパー)耐性菌 現代医療が生んだ「死の変異」』マット・マッカーシー 著/久保尚子 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] Matt McCarthy 医師、米ワイルコーネル医科大学院助教授。MLB(米大リーグ機構)のエンゼルスにドラフトで指名されるほどの野球選手だったが、医師の道に。ニューヨークのプレスビテリアン病院では倫理委員会の一員であり、勤務医として働いている。

新型コロナウイルスの変異株は、われわれに新たな脅威を突きつけた。ワクチンを打てばコロナ禍終了、とはいきそうにないことが、徐々に明らかになりつつある。

病原体の変異の恐ろしさは、細菌感染症でも同じことだ。各種の抗菌薬が効かなくなる変異を起こしたスーパー耐性菌が、世界中に拡大しているのだ。このままいけば、2050年には世界で1000万人が、スーパー耐性菌の犠牲になると見られている。新型コロナによる死者がここまで約410万人であることを考えれば、これがいかに恐るべき数字かわかるだろう。

しかし、新たな抗菌薬はなかなか登場しない。これにはいくつかの理由がある。1つは、自然界から見つかる抗菌薬をほぼ取り尽くしたことだ。科学者たちは世界各地の土壌や海洋生物を探索してきたが、もはや新規物質はなかなか見つからなくなっている。

経済面の問題も根深い。新抗菌薬の開発には、莫大な費用が必要になる。しかし、新薬を大々的に使えばすぐ耐性菌が出現するから、ここぞという状況でのみ切り札として使わねばならない。このため製薬企業にとっては、抗菌薬は開発費用を回収しにくく、手を出しづらい分野なのだ。

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