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『日本 戦争経済史 戦費、通貨金融政策、国際比較』 『「ポスト・アメリカニズム」の世紀 転換期のキリスト教文明』ほか

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段階経て戦費調達法が進化 太平洋戦争はGDPの45%
評者/名古屋商科大学ビジネススクール教授 原田 泰

『日本戦争経済史 戦費、通貨金融政策、国際比較』小野圭司 著(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile] おの・けいし 1988年京都大学経済学部卒業、88年から96年まで住友銀行に勤務。97年防衛研究所入所、青山学院大学大学院修士課程(社会人課程)修了、2000年英ロンドン大学大学院修士課程修了(開発経済学修士)。現在、防衛研究所特別研究官。

戊辰戦争から太平洋戦争までの、日本の戦争と経済の関係を丹念に調査し、包括的に分析した労作である。

戊辰戦争と西南戦争では、戦費の多くを紙幣発行に頼り、インフレをもたらしているが、日清戦争では、戦費調達方法が進化した。まず、大砲や船舶といった装備(償却資産)と弾薬などの消耗品を分ける。装備はすべて税金で賄うが、消耗品費は戦争の直接経費=戦費とされ、事前に予想を立てたうえで半分を公債の発行で賄った。紙幣の発行に頼らなかったため、戦費はGDPの7%である。しかも、清国からの賠償金は戦費以上であった。これらにより、インフレは避けられた。

日露戦争でも、事前に戦費の予測がなされ、その8割を内債と外債半々で賄った。戦費は紙幣発行に頼らないという方針が確立したのである。ただし、金融は緩和的で、内債の発行を容易にした。外債の発行は、軍需品の大量輸入のためであり、この間の軍事技術の進歩のゆえであろう。戦費はGDPの22%に及んだ。日露戦争に備えての軍備拡張に関しても、清国賠償金の寄与は大きかった。著者は、日清戦争の勝利がなければ日露戦争の勝利もなかったと指摘している。

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