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『貿易戦争は階級闘争である 格差と対立の隠された構造』 『権威主義の誘惑 民主政治の黄昏』『戦争というもの』ほか

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問題は貿易黒字国内の格差 第1次大戦前の状況に似る
評者/関西大学客員教授 会田弘継

『貿易戦争は階級闘争である 格差と対立の隠された構造』マシュー・C・クレイン、マイケル・ペティス 著/小坂恵理 訳(書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします)
[Profile]Matthew C. Klein 米イェール大学(歴史学専攻)卒業後、外交問題評議会勤務を経てジャーナリズムの世界に入る。現在、米国の週刊投資金融専門紙『バロンズ』の経済論説担当。
Michael Pettis 米コロンビア大学大学院でMBA取得。北京大学光華管理学院(ビジネススクール)教授(財政・金融)。カーネギー国際平和基金のシニアフェローも務めている。

米中対立の大きな原因は貿易の不均衡だ。両国の経済力がいずれ逆転し、軍事力のバランスにも大きな影響を与えかねない。というわけで、トランプ前米大統領の登場以来、米中は貿易戦争の様相を呈している。

本書の著者らは貿易不均衡の原因は、実は主要国内での貧富の格差にあるという。金融資本やごく一部の超富裕層に富が集中し、その他大勢が貧困化している状況こそ原因だと説く。タイトルの由来だ。

かつて日米貿易摩擦では、米国の貯蓄と投資のバランスが、過剰消費のため偏っているのが貿易赤字の原因だという主張がなされた。マクロ経済の視点だ。米中摩擦でも同様の主張が聞かれる。本書も国際マクロ経済の視点を用いて問題を捉え直す試みだ。単に米中間に限らず、世界経済全体に生じているひずみとその原因に分け入り、格差の解消方法などを提案している。

主として取り上げられるのは貿易黒字国としての中国とドイツ、赤字国としての米国だ。黒字国に共通する病理は、低賃金に抑え込まれた労働者階級の「過少消費」だ。その一方で労働者らを犠牲にして富を蓄積する超富裕層には、巨額の「余剰貯蓄」が生じる。

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