中国はいかに少子高齢化問題に対峙すべきか 2020年の出生率はわずか1.3

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中国政府は5月末、第3子の出産を認める方針を新たに打ち出した(Featurechina/アフロ)

人口問題は中国が直面している最も深刻な課題の1つだ。10年に一度の国勢調査の結果をどう受け止めるべきか。『財新周刊』5月17日号の社論では、このテーマについて論じられている。

中国の人口は過去10年間、緩やかに増加するという状態を維持していた。5月に発表された「第七回全国人口普遍調査」(以下、「七普」)のデータによれば、総人口は14億1178万人に達した。

このデータの解釈については明らかな対立軸が存在する。一方は、中国の総人口は引き続き増加し、いまだ世界第1の人口大国として労働力も豊富であることを強調する。もう一方の主張は、2020年の出生率はわずか1.3と、中国はすでに「低出生率のわな」に陥っており、高齢化はさらに深刻化するというものだ。これらの見解は着眼点が異なり、どちらも根拠を持っているが、最終的な結論は正反対なものになるかもしれない。例えば「人口ボーナス」は今も存在しているのかどうかについてだ。

具体的な問題について議論するよりも、人口問題の本質的な特徴をしっかりと把握し、未来志向の考えで政策を打ち出すことが重要だ。例えば「七普」発表前後は、中国の人口はすでにピークに達したかどうかが話題となった。「七普」のデータはピーク説を否定しているが、その時は近い将来必ずやってくる。早期の準備が必要だろう。

高齢化は全世界が共有する難題だが、中国が直面している課題はとくに厳しい。その根拠となるポイントは3つ。①高齢人口が最大であること、②最も急速に深刻化していること、③経済的に豊かになる前に高齢化が起こることだ。

データの中のわずかな光を必死に探して無理に強調すれば、人々に「状況は非常によい」という錯覚を起こさせかねない。その結果、政策の調整を行う動力と時機を逸し、将来をより受動的なものにしてしまう可能性がある。

近年では「単独二孩(夫婦の一方が一人っ子であれば2人目を認める)」と「全面两孩(夫婦が一人っ子であるか否かにかかわらず2人目まで認める)」の政策が実施されたが、その効果は役人や学者の予想には及んでいない。

(21~25年の長期目標を定めた)「第14次五カ年計画」の期間は、中国の人口政策に変化が起こる重要な時期だ。しかし生活コストの上昇や「学区内」の物件の家賃高騰、幼稚園や学校への入園・入学の難しさなどの現実的難題は、出産を奨励するスローガンだけでは解決のしようがない。

これまで人口増加の規律は十分に尊重されておらず、多くの人が「人口は、計画を立て、比率に従い増減させることができる」と誤解していた。これは人口問題における計画経済思考の反映と残滓(ざんし)だ。

少子高齢化による経済や社会への影響をどれだけ小さくできるかは人々の努力次第だ。AI(人工知能)によって労働力不足を補うには、供給側の構造改革などが必要となる。都市化を加速させることで消費を促すには、戸籍制度の改革を加速し、農民工の市民化と第2次および第3次産業への転換を促進し続ける必要がある。

「七普」は中国に対して全面的に、真摯に反省する機会を与えてくれた。人口問題においては極端な姿勢で臨むのではなく、用意周到に策を講じるべきだ。

中国の独立系メディア「財新」の記事は東洋経済オンラインでも配信しています。
財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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