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再分配政策をためらう習指導部 科学技術や軍拡に資金を優先投入

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習主席は国民全体が豊かになる「共同富裕」を掲げる。しかし優先されるのは科学技術や軍拡だ。

中国では6億人以上が1カ月約1.7万円以下で暮らす。「脱貧困」のスローガンが掲げられた重慶市郊外の農村(読売新聞/ アフロ)

「中国共産党の創立100周年を迎える重要なときに、わが国は脱貧困の攻略戦で全面的な勝利を収め、現在の基準で9899万人いた農村部の貧困人口を全員貧困から脱却させ……歴史に残る人類社会の奇跡を生み出しました」

2月25日、習近平国家主席はこのように述べ、2012年の党総書記就任時に存在した約1億人の貧困人口が8年で一掃されたと宣言した。それは党の領導(指導と統率)という政治的な優越性があってこそとも強調。中国の貧困削減のため諸外国が果たした貢献には触れなかった。習主席はさらに、「共同富裕の実現は社会主義の必須条件」と発言し、一党独裁が導く美しい未来を「共同富裕」という言葉で描いてみせた。

習主席にとって、「脱貧困」が国内政治上、重要なことは間違いない。西側との新冷戦的な対立が深刻化する中で、脱貧困は外交ツールとしても重要性を増す。

中央電視台は2月、「貧困からの脱却」(Up and Out of Poverty)と題したドキュメンタリーを放映、対外宣伝に活用するため外国語訳も充実させた(ユーチューブで視聴できる)。国務院は4月、「人類の貧困を削減した中国の実践」と題する白書も公開。脱貧困は世界の模範として影響力を拡大するうえで格好の武器になっている。

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