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改めて思う「日銀の独立性」の難しさ 人事を通じた支配をはねつけるには何が必要か

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第2次安倍政権になり政治はこう学習した。「中央銀行は人事を通じてコントロールできる」と。

エマニュエル・ロイツェが描いた『デラウェア川を渡るワシントン』(アフロ)

米ニューヨークのメトロポリタン美術館。2階の一画に、壁いっぱいの大きな絵が展示されている。エマニュエル・ロイツェが描いた『デラウェア川を渡るワシントン』。米独立戦争中の1776年12月に決行された奇襲作戦がテーマだ。氷が浮かぶ川面を進む小舟。危険な夜間渡河に緊張する民兵たち。後の初代大統領ジョージ・ワシントン将軍は真っすぐ前を見つめて舳(へ)先に立つ。この国ではなじみの絵柄でもある。

独立はいつの世も苦難を伴う。ボストン茶会事件などを経て始まった独立戦争も、当初、物量に勝る英国軍が優勢だった。デラウェア川渡河作戦の成功で勝利への道が開かれたといわれるが、この後も多くの血が流れた。

日本の中央銀行にとっての「独立戦争」は、今からちょうど四半世紀前の1996年に始まった。

「日本銀行ハ国家経済総力ノ適切ナル発揮ヲ図ル為……」

42年(昭和17年)制定の旧日銀法は、日本の中央銀行を縛る戦時立法。大蔵大臣(現財務大臣)は「役員の解任権」「一般的業務指揮権」など強い権限を持ち、日銀はその所在地から「大蔵省本石町出張所」と揶揄されていた。

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