コロナ禍からの復活を期する自動車業界に思わぬ「待った」をかけたのが半導体不足だった。激しい争奪戦は産業の主役を交代させることになるのか。
「何とか半導体の必要分をかき集めてもらえないか」
今年1月、SUBARUの調達担当役員は仕入れ先へのお願いに奔走していた。目的は日々逼迫度が増していた車載半導体の確保だ。だが、「部品メーカーのトップクラスに直談判を繰り返しても、色よい返事はもらえなかった」(SUBARU関係者)。結局、同社は半導体不足の影響で、3月までに年度計画の5%に当たる4万8000台の減産に追い込まれた。
SUBARUだけではない。自動車業界は昨年前半の新型コロナウイルスによる大減産から年末にかけて急速に販売が回復してきたところで、半導体不足という新たな壁に行く手を阻まれている。
昨年末に独フォルクスワーゲンがいち早く生産調整を発表。年明けからは、程度の差こそあれ、国内外のあらゆるメーカーが生産調整を余儀なくされている。英IHSマークイットは、今年1~3月の半導体不足に伴う減産影響は世界で100万台近くになると推計。自動車メーカー幹部はこう漏らす。「せっかく販売の勢いが戻ってきていたのに残念だ。とにかく影響を最小限に食い止めたい」。
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