半導体だけでなく、材料も限られたパイの奪い合いだ。
その1つがシリコンウェハー。ほぼすべての半導体の基板となる製品だ。市場規模は約120億ドルと、半導体市場(約4700億ドル)に比べると小さいが、スマートフォンに使われる最先端のチップから、トランジスタなど基本的なものまで、あらゆる半導体はシリコンウェハーがなければ作ることができない。
半導体市場の拡大に伴い、ウェハーの消費量も増えている。専業メーカーで世界シェア2位のSUMCOの推計によると、主に先端品向けに使われる直径300ミリメートルウェハーは、市場全体で毎年5.1%ずつ出荷が増える見込みだ。
こうした中、旺盛な半導体需要にウェハーの供給が追いつかなくなるとの懸念が浮上している。各社は現在、既存設備の増強や生産性改善で生産量を増やしているが、2023年にはウェハー不足が露呈するという見方が少なくない。需要を満たせる供給量を確保するには新工場の設置が欠かせないが、工場建設から生産開始までは数年かかり、量産に間に合わせるための投資決定のタイムリミットは近づいている。
「1.5倍に値上げが必要」
しかし、メーカー各社は新工場の投資に慎重だ。シェアトップの信越化学工業は1月の決算説明会で、「期待先行の投資はしないというのが基本的考え」(轟正彦専務)との説明を繰り返した。
増産に二の足を踏む理由は2つある。1つは、市況によって価格が変わりやすい点だ。各社には、かつて増産競争に明け暮れた末に大幅な値崩れを経験した苦い記憶がある。08年のリーマンショック直後に半導体需要が減少し、ウェハー価格は一時3分の1以下に落ちた。その結果、SUMCOは10年1月期に865億円もの巨額の営業赤字を計上した。
この記事は有料会員限定です
残り 444文字
