欧米の自動車大手が半導体不足に苦しむ中、トヨタ自動車が被った影響は軽微だった。そこには10年前の東日本大震災を教訓とした徹底的なリスク管理があった。
当時トヨタの2次仕入れ先以降を含めた被災拠点数は659に上り、サプライチェーン(部品供給網)が寸断。国内工場は最長で1カ月も稼働停止を余儀なくされた。被災状況の把握にも3週間を要し、部品供給の再開にメドがつくまでに2カ月以上かかった。
「震災前は1次取引先までしか見られていなかった」とトヨタ幹部は振り返る。1次仕入れ先を複数にすることでリスクを分散したつもりでいた。だが、電子部品や化学材料の一部では、2次、3次の仕入れ先が同一の供給元になっていたケースもあり、そこが被災して全体の生産が止まった。代替生産先の選定など事前の備えも不十分だった。
複雑なサプライチェーンの「見える化」が必要だ──。トヨタは震災後2年をかけて、調達している部品の生産拠点などの情報を集約するシステム「レスキュー」を富士通と開発した。仕入れ先にサプライチェーンを開示してもらい、ランプやタイヤといった品目ごとに、約40万に上る構成品や材料の調達先を最長で10次取引先までまとめている。
レスキューでは、自然災害の発生地の情報を反映させて検索すれば、被害が予想される調達先を絞り込める。その後は電話などで状況の詳細を確認し、必要に応じて部品の代替調達先を確保する。今では半日で取引先の被災状況を把握できるようになった。

リスク品目を9割削減
トヨタはこのシステムを使い、平時からリスクの可視化と対策を進めてきた。1拠点のみでの生産品目や特殊な仕様で代替生産が難しい品目を「リスク品目」に指定。震災時、トヨタが取引する全品目のうち5割に当たる約2000品目がリスク品目だった。
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