半導体不足はコロナ禍からの回復局面にあった自動車産業を直撃した。混乱が投げかける課題は何か。ナカニシ自動車産業リサーチの代表アナリスト・中西孝樹氏に聞いた。
──半導体不足に伴う混乱をどのように捉えていますか。
まず体感するのは、脱炭素とコロナ禍によって自動車も含めて社会的なデジタル化が想像以上に早く進んでいるということだ。結果として半導体の需要が非常に旺盛になっている。
自動車業界はCASE技術の開発・普及など構造的な変化の過程にあり、さらには米テスラや米アップルなどIT側に主導権を奪われてしまう危険にさらされている。デジタル化を加速しないといけない状況で今回の推移を見ると、企業が半導体を奪い合う将来の前哨戦のように見えてしまうインパクトがある。
──自動車メーカーは、サプライチェーンや在庫の持ち方の見直しにまで踏み込むべきでしょうか。
現状のような中国のマイカーブームや米国での自動車の在庫不足は落ち着いてくるとは思う。これまではコロナ禍からの挽回の状態だった。自動車の生産が安定操業に入ると同時に今の状況は改善に向かっていくのではないか。
もちろんジャスト・イン・タイムの生産システムが否定されるわけではない。ただ、半導体はリードタイムが(最長半年程度と)長く、システムになじまない面があることは事実だ。例外的に余分に持つべきであると思うし、腐らない、場所を取らないという点でも負担にはならないはず。ここはシステムに組み込むというよりも、なじまないものは在庫を持つ、という考え方が重要だ。
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