コロナに始まり、コロナで終わった2020年。新社長に就いた主要企業のトップに、2021年の課題や展望を聞いた。
「田中さん、替わってくれない?」
――田中さんはもともとは旧三菱銀行の銀行員でした。畑違いの塗料会社に会長として招かれ、社長に就任するまでの経緯を教えてください。
人を介して会いたいと言われ、2015年にゴーさんと会った。彼からは一族がシンガポールで塗料事業をどう伸ばしたかを聞き、私は日本のコーポレートガバナンスが変わり始めているという話をした。誕生日は5日しか違わないし、大学も同じで、互いに親近感を覚え、その後も彼の来日時に何回かお会いした。
産業革新投資機構の社長を2018年12月に辞めたら、ただちに8社から「来てくれないか」と誘いがあった。年が明けたら考えようと思っていたら、1月にゴーさんが東京に来て「田中さん、どうするの? 引退には早いでしょ」。
シンガポールに遊びに来いというので、彼が新造した超大型クルーズ船の最初の客になった。当時彼は日本ペイントHDの会長で、こう言うんだ。「私は商売をやるのが好きで、ガバナンスは向いてない。田中さん、替わってくれない?」
確かに、日本の上場会社のガバナンスとアジアの未上場会社のそれはかなり違う。少し考えて受けてもいいと思ったが、1つ条件を出した。「マネジメントが割れている企業は絶対に成長しない。ガバナンスが変化しているときに、それを任せる人間を社内外の取締役全員一致で招きたいというのなら受ける」。五分五分だろうと思ったら、それでいいというので2019年3月に日本ペイントHDの取締役会長に就任した。
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