「リーマンショックのときも、大震災でも、これほど需要が落ち込んだことはなかった」。業界幹部は落胆を通り越し、あきれ気味に語る。
ホテル業界を襲ったコロナ禍は未曾有の衝撃だ。4月に発令された緊急事態宣言を機に多くのホテルが休業に追い込まれた。宿泊者同士の接触を避ける感染防止策を講じて再開にこぎ着けるも、「第2波」で7月以降に感染者数が増え始めると、積み上がった予約はキャンセルの嵐となった。
各社とも、4〜9月期の業績は厳しい。帝国ホテルは75億円、ロイヤルホテルは47億円、藤田観光は111億円の最終赤字となった。宿泊が落ち込んだこともあるが、自粛によって収益源である法人の宴会需要が吹き飛んだ。固定費の負担を吸収できず、大幅な赤字になっている。
当然ながら宿泊に特化したビジネスホテルも厳しい。そもそも供給過剰が指摘されていた中、稼働率は一気に落ち込んだ。
臨時休業に加え、Web会議やテレワークの普及で出張需要が急激に縮小した。さらには、これまで成長を牽引してきた訪日客需要が蒸発し、都市部では観光の目的となるイベントや音楽ライブなども相次いで中止、延期となった。メインであるビジネスのみならず、観光・レジャー需要まで激減する苦しい結果となっている。
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