ファーウェイ「最後の旗艦スマホ」発売 米国政府の制裁により半導体の調達が困難に

✎ 1〜 ✎ 58 ✎ 59 ✎ 60 ✎ 最新
拡大
縮小

中国の通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は10月22日、スマートフォンの新型フラッグシップ機「Mate 40」シリーズを発表した。米国政府の制裁により半導体の調達が困難になってから初めて発売するフラッグシップ機である。Mate 40シリーズの最大の特徴は強力なカメラ機能で、下位機種は背面に4つ、上位機種は5つのレンズを搭載している。

米国の制裁との関係で注目されるのが、心臓部のSoC(訳注:システムオンチップの略称。CPUや通信モデムなどの基幹機能を1つのチップにまとめたもの)だ。Mate 40シリーズはすべてファーウェイ独自のSoC「麒麟(Kirin)9000」を採用している。半導体設計子会社の海思半導体(ハイシリコン)が設計し、半導体の受託製造で世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)が最先端の5ナノメートルのプロセス技術で製造したものだ。

だがTSMCは米国の制裁を順守し、9月15日からファーウェイ向けの出荷を停止した。台湾の調査会社は、それ以前にファーウェイが調達できた麒麟9000を1500万~2000万個と推計している。

この在庫を使えば、ファーウェイはMate 40シリーズの生産を2021年まで続けられるとみられる。しかし、後継機開発の見通しも立たず、これが最後のフラッグシップ機になるかもしれない。

(財新記者:何書静、原文の配信は10月22日)

中国の独立系メディア「財新」の記事は東洋経済オンラインでも配信しています。
財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内