ホンダF1ついに終止符 エンジン開発「縮小」の必然
「モータースポーツがDNA」のホンダが決断。電動車開発に経営資源を集中。
自動車レースの最高峰「フォーミュラ・ワン(F1)」から、ホンダが2021年シーズンを最後に撤退する。「社内では参戦を継続すべきという意見もあったが、開発リソースを環境分野に傾けるべきだと判断した」。ホンダの八郷隆弘社長は10月2日の記者会見で、撤退の理由についてそう強調した。
ホンダのF1は、まさに栄光と挫折の歴史だ。1964年に初参戦し、80〜90年代には故アイルトン・セナ選手を筆頭に勝利を重ねて黄金時代を築いた。一方、08年のリーマンショックをきっかけに一時参戦を取りやめるなど、撤退と参戦を繰り返してきた。
15年にエンジンなどのパワーユニットをレーシングチームに供給する形で4度目の参戦。当初は苦戦したものの、19年シーズンに3勝、今シーズンもこれまで2勝を挙げている。「強いホンダ」の再来が期待された矢先での撤退決断だけに、ファンに与えるショックは小さくないはずだ。
ホンダがF1に参戦してきた理由の1つが、エンジン開発やレースで得られる技術と経験が市販車の開発にも生かせることだ。エンジニアの育成や社内の士気向上の面でも貢献してきた。加えて、レースに勝てば自社が持つ技術力の証明にもなり、広告宣伝の効果も大きかった。
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