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無添加せっけんが生んだ「消防革命」の消火薬剤 シャボン玉石けんが挑むものづくり

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せっけんの製造現場。1週間「釜炊き」を見守る熟練技術者は酒蔵の杜氏のようだ。左は30歳で社長に就任した森田隼人氏(撮影:山根一眞)

シャボン玉石けん(本社・福岡県北九州市若松区南二島)は北九州市では知らない人はいない地元を代表する企業だが、全国での知名度はいま一つだ。それでも、合成洗剤(合成界面活性剤)ではない昔ながらの「せっけん」の愛用者は少なくない。そのせっけんは、肌にやさしいだけでなく、強力な効用も明らかになりつつある。

また同社は、最も成功した産官学のケースと評価され、「消防革命」を起こしたといわれる、消防用のせっけん系消火薬剤の開発製造も担ってきた。それは、インドネシアの深刻な泥炭火災に有効な消火手段として期待され、実証実験が進められている。この、小粒だがダイナミックな中小企業のものづくりを、若き社長の森田隼人さん(43)と国際協力で東奔西走を続けている研究開発部長の川原貴佳さん(42)に聞いた。

山根 私は長年にわたり北九州市の取材を続けてきましたが、全国でのシャボン玉石けんの知名度はまだいま一つですね。

森田 うちで製造している無添加せっけんと、広く普及している合成洗剤の何がどう違うのかを理解していただくのは難しいんです。2013年に全国の1832人を対象にシャボン玉石けんと大手メーカー3社の製品を比較するブランド認知度調査を行いましたが、「赤ちゃんでも安心して使える」「手肌にやさしい」などの項目では他社よりもスコアが高かったんですが……。

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