紀伊半島沖から四国南方沖で同時発生する可能性がある、南海トラフ地震が刻々と近づいている。今後30年以内の発生確率は70〜80%。対策が進み、以前より低く修正されてはいるが、それでも想定死者数は東日本大震災の約10倍、最大23万1000人。直接的な推定被害額は171兆6000億円(2019年5月、中央防災会議)、日本全体の経済活動への影響は推定で約30兆〜45兆円(内閣府「南海トラフ巨大地震の被害想定について・第二次報告」)に達するとされる。
日本の抱える深刻な課題なだけに、この地震のメカニズム解明がどこまで進んでいるのかとても気になっていた。そこで訪ねたのが、海洋研究開発機構(JAMSTEC)高知コア研究所(高知県南国市物部)だ。
JAMSTECが運用している地球深部探査船「ちきゅう」(国際総トン数5万6752トン)は、南海トラフ地震の震源域、海底下約3200メートルまでの海洋科学掘削の世界最深記録を持つ研究船だ。高知コア研究所は、その掘削で得た岩石試料を保管・管理する拠点だが、研究所長の石川剛志さんによれば、海底下の物理学、生物学、化学の3分野の研究チームが在籍し、それらの融合的な研究をも進めているという。
そこで、地震発生帯の岩石物性研究に取り組む廣瀬丈洋さん(岩石物性研究グループ主任研究員)に、地震発生のメカニズム解明の手法とその成果について聞いた。
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