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暗転する世界経済 金利・為替・企業業績を検証

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貿易の不均衡をめぐる米中対立は激化の一途だ。懸案はそれだけではない。不安要素がいくつもある。景気失速による市場の混乱が近づいている。

本誌:大崎明子、中村 稔、藤原宏成

8月の金融市場は波乱の展開となった。米中貿易摩擦をめぐって、トランプ政権と習近平政権の報復合戦がエスカレート。また、欧州などで景気後退が始まっており、これが米国に波及する懸念が強まったことから、市場の不安心理が増幅された。

市場でパニック的な混乱の連鎖は起きていないが、世界経済は暗転に向かっている。一時的な均衡が保たれている今こそ、混乱の火種をきちんと把握しておきたい。

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つばぜり合いが激化

世界の懸案である米中の対立は激化の一途をたどっている。

米国は9月1日、対中関税第4弾を発動した。クリスマス商戦に配慮して一部(スマートフォンや玩具など)を12月15日に先送りしたが、これで中国からの輸入品の大半5200億ドル分に制裁目的の追加関税が課されることになった。約2700億ドル分には15%、第1~3弾の対象(2500億ドル分)は10月1日から関税率が25%から30%へ引き上げられる見通しだ。

同日、中国側も報復関税を発動した。米国からの原油や農産物などの輸入品約750億ドル分に5%か10%の関税がかけられる。すでに大豆やLNGなどに25%課税している分と合わせて米国からの輸入品約1850億ドル分に関税が課される。さらに中国は9月3日、米国を世界貿易機関(WTO)に提訴すると発表した。大国のプライドがぶつかり合い、両者とも一歩も引かない構えだ。

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