世界的に不確実性と景気失速懸念が高まる中、国際商品市場では工業用の原油や銅、アルミなどの価格が低迷する一方、蓄財・投資用の資産となる金の価格上昇が目立っている。
国際指標のニューヨーク商品取引所の金先物価格(中心限月清算値)は9月3日現在、1トロイオンス(約31グラム)当たり1556ドルと、2013年4月以来の高値圏にある。また、円建てで売買される国内の地金小売り価格は1グラム当たり5700円台で、約40年ぶりの高値水準だ。街の貴金属買い取り店には、タンスに眠っていた金のコインや装飾品を現金化する客が押し寄せている。
中央銀行が金を備蓄することからもわかるように、「代替通貨」としての側面を持つ金は、市場の金利が低下したりインフレになったりして通貨(ドル)の価値が低下すると、相対的な価値を増す。つまり、金価格は実質金利(名目金利−インフレ率)との逆相関関係が強い。市場金利としては、流動性の高い10年物の米国債利回りがとくに参照される。
同時に金価格に影響を与えるのが、地政学リスクや信用リスクなどによる市場の不安心理だ。市場の不安が高まると、「安全資産」としての側面も持つ金が買われる構図だ。
下の図は近年の金価格と米国の実質金利の関係を示したもの。18年12月まで米景気拡大を背景にFRB(米連邦準備制度理事会)が利上げを続け、実質金利が上昇する局面では、金価格が上昇し、逆相関が崩れることもあった。これは米中貿易摩擦をはじめ、米朝関係や中東情勢、ブレグジットなどによるリスクプレミアムの増減が実質金利以上に大きく影響したことを物語る。
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