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「米中摩擦は長期戦が不可避、中国の景気対策は限界に」 世界経済の展望を聞く/国際公共政策研究センター 理事長 田中直毅

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  • 中村 稔 東洋経済 編集委員
たなか・なおき 1945年生まれ。東京大学法学部卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。国民経済研究協会主任研究員を経て、84年から本格的に評論活動を開始。97年、21世紀政策研究所理事長。2007年から現職。(撮影:吉濱篤志)
米中対立の激化など混迷の度を増す世界経済はこれからどこへ向かうのか。国際公共政策研究センター理事長で経済評論家の田中直毅氏に聞いた。

──世界経済は今、どういう局面にあると見ていますか。

1930年代のスムート・ホーリー法のような高関税政策がトランプ政権によって実施され、それが米中報復合戦を激化させ、恐慌の引き金になるという議論がある。

しかし他方で、世界レベルの経済秩序を保つための努力が、超大国ではなく、中級国家連合であるEU(欧州連合)主導で行われつつある。2050年のカーボン・エミッション・ゼロに向けた取り組みがそれで、明日をにらんだ備えの中でイノベーションを生み出す仕組みが動き始めている。世界的な保護主義が戦争への流れを生んだ30年代とは違う。

現在の最大の焦点は、中国の改革の行方だ。知的所有権の軽視や国家情報法の制定、ウイグル族への抑圧、南沙諸島の軍事拠点化、サイバー攻撃といった中国の行為に対する「戦闘宣言書」が、昨年10月の米ペンス副大統領による演説だった。それ以降、中国は米中摩擦の長期戦を覚悟した。

──中国経済の失速懸念が強まっています。

高関税に加え、外国企業や中国企業の生産拠点移転の動きなど対中圧力は高まる一方だ。ケインジアン型の景気対策で済む話ではない。そうした対策は非効率な投資を助長するだけで、債務過多の中国にとっては決定的ダメージになる。フォーベアランス(先送り)政策は限界に近い。外貨準備と対外債務の水準を考えれば、米国債を売って脅かす余裕もない。人民元の安値誘導で輸出ドライブをかけるにしても、中国企業のドル建て対外債務の返済はますます苦しくなる。通貨切り下げ圧力の強い国に投資する人はいない。

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