参議院選挙の結果が今後の安倍政権の行方を左右する火種になりかねない。
7月の参議院選挙は与党側の勝利に終わったが、安倍晋三首相の実際の心境は「うれしさも中くらい」といったところではなかったか。自民党と公明党の当選者数は改選議席の半数を11上回り、選挙後の両党の総議席も過半数の18超に達したが、過去3年、手にしていた参議院での「自民党の単独過半数」と「改憲勢力による改憲案発議要件」の2つのラインには届かなかったからだ。
この2点は今後、政権の行方を左右する火種となりかねない。
見えにくい部分だが、まず連立与党の自公関係の内実に微妙な変化が生じるのが第1の注目点である。自民党の単独過半数の喪失で、政権内での公明党の発言力がアップするのは間違いない。
一方、自民、公明、日本維新の会の改憲3党など改憲勢力の総議席が、発議要件である総議員の3分の2を割り込んだという新事態と合わせて、公明党は改憲問題で独自路線への傾斜を強めそうだ。「在任中の改憲実現」を目指す安倍首相は、改憲事項に関して、第9条への自衛隊明記を最重視するが、公明党憲法調査会長の北側一雄副代表は「9条改正は必要性も緊急性もない」と明言している。
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