きたおか・しんいち●1948年生まれ。東京大学大学院博士課程修了(法学博士)。立教大学教授、東京大学教授、国連大使などを歴任。2015年から国際協力機構(JICA)理事長。『清沢洌──日米関係への洞察』『自民党──政権党の38年』『国連の政治力学』『外交的思考』など著書多数。
非・超大国との交流が示唆する日本の進路
評者 福井県立大学名誉教授 中沢孝夫
暮らしや経済活動を支える基本的な「公共財」ともいえる「社会秩序」に関して、日本が果たしている地味だが大きな国際的役割を、本書により改めて実感した。
私たちは国際秩序を考えるとき、米国や中国といった超大国の意思や行動から、その変化を予測し、理解しようとする。確かに、超大国の影響力は圧倒的だが、相対的に大国といえる日本の役割も大きく、それなりの影響を世界に与えている。著者はこれまでの日本外交が超大国との2国間関係に偏りすぎたとし、新たな視点を提供する。
190を超える国連加盟国の多くは発展途上国で、地政学的、民族的、宗教的その他の理由から、混乱と紛争が絶えない。また、破綻国家の増大による難民・移民の大量発生や、その受け入れ国である米国や欧州の国内秩序の揺らぎは、グローバル化の一側面である。現在求められているのは戦火や虐殺、略奪などのない、それぞれの国や地域の産業や暮らしを安定させるための秩序の確立だ。
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