まき・ひさし●1941年生まれ。64年日本経済新聞社入社、東京本社編集局社会部に所属。東京・社会部長、副社長、テレビ大阪会長を歴任。現在、ジャーナリスト。著書に『「安南王国」の夢』『不屈の春雷──十河信二とその時代』『昭和解体──国鉄分割・民営化30年目の真実』など。
JR各社の命運を分けた、経営者の覚悟の違い
評者 甲南女子大学教授 林 雅彦
評者は、学生時代、各クラブへの活動援助費を学生自治会がピンハネしないための監視役を一時していた。ある日、自治会の主要メンバー3人が中核派に殺されてしまった。そう、3人は極左過激派組織「日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派(革マル派)」の活動家だった。
本書は、動労(動力車労働組合、旧国鉄の労組の1つ)を拠点とした革マル派の最高指導者、松崎明の一代記かつ、旧国鉄及びJR各社の労働組合史だ。内容の多くは目新しくはないが、1冊にまとまると、その迫力に圧倒される。
松崎明といえば、「コペ転」。コペルニクス的転回の略で、国鉄改革の際、松崎率いる動労が突如反対から賛成に回ったことを指す。これが分割民営化実現に大きく寄与した。
政府、JRに恩を売った松崎は、国労以外の旧国鉄の労組を糾合したJR総連を支配、また、JR各社のみならず政界や警察の一部にまで取り入ることに成功する。
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