タンカー襲撃でイラン緊迫 米国との対話へ日本に出番
米国とイランの対話の呼びかけに冷や水。日本の命綱が脅かされている。
日本の首相として41年ぶりにイランを訪れた安倍晋三首相は、6月13日に最高指導者のハメネイ師と会談し、米国との緊張緩和に向けた対話を求めた。まさにその頃、日本関連の貨物を積んだタンカー2隻がホルムズ海峡付近のオマーン湾で攻撃を受けた。
米国は4月にテロ支援組織と指定したイラン革命防衛隊による攻撃だと断じた。近く国連安全保障理事会で、米国とイランの激しいせめぎ合いが始まるだろう。
この地域の安定がいかに日本にとって重要かを再認識させる事態だ。日本が輸入する原油全体の80%、ガスの20%はホルムズ海峡を通過しているのだ。
安倍首相とハメネイ師、ロウハニ大統領の会談で、目に見える収穫はなかった。しかしこれまでの経緯を注意深く読み解けば、そこにはこれからの展開を示唆する情報が見え隠れしている。
日本への期待は何か
まず見ておくべきは、なぜイランが日本に米国との仲介を期待したかだ。
5月1日、米国はイラン産原油の全面禁輸を主要国に求めた。これを契機にイランをめぐる軍事的緊張が一気に高まった。米国のこのような行動に対してその不当性を世界に訴え、支援を取り付けるため、イランのザリフ外相は欧州─ロシア─トルクメニスタン─インド─中国を駆け回った。同外相は5月15日、インドから中国行きの予定を急きょ変更して、日本を訪問した。同月25日からのトランプ米大統領訪日を目前に控え、安倍首相を経由して同大統領にイランの真意を伝えてもらいたいとの期待がうかがえる。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら