台湾学生リーダーは「痴漢の常習者」だった 暴かれたイケメン学生運動指導者の過去

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実は、陳氏の女性に関するスキャンダルは、以前からよく知られており、「それほど秘密というほどではなかった」、と関係者らは口をそろえる。陳氏は政界に本格的に進出して活動するためには、自ら汚点をさらけ出すことで有権者らの了解を得ると同時に、対立する国民党などからの政治的攻撃の機先を制する考えがあったようだ。

この事件で最も当惑しているのが、最大野党の民主進歩党(民進党)だろう。2014年春の学生運動で成功を収めた陳氏の手腕と人気にあやかって、民進党は前出の苗栗県選挙区での候補者擁立を見送り、陳氏を支援することを検討していた。対立候補となる国民党の現職の人気と比べると、告白直前の世論調査では陳氏の支持率が対立候補を上回る結果も出ていた。

若者の政治参画にも影

学生運動をともに主導した林飛帆氏は、陳氏が最初に告白した際、フェイスブックの自らのサイトに以下のように書いた。

「(陳氏の過去は)パートナーであるわれわれは、以前から知っていたこと。彼はパートナーに過去を隠すことはなかった。この過去は彼にとってかなりのストレスとなっていたようだ。彼の過去は過ちだ。だが、これまで彼が公のためにやってきたこと、彼の貢献を否定することはできない」

陳氏は「ひまわり学運」以前からも社会運動に携わってきており、林氏はそんな過去を評価しつつも、今回の告白が呼び起こした反応について複雑な心境を吐露している。

彼らを支持する学生など、若者層の反応も複雑だ。陳氏のこれまでの活動を評価する声は少なくはないが、彼の過去と今回の行動については否定的な声が広がっている。学生運動での活躍から、国民党・民進党という二大政党による政治に新機軸を打ち立てつつあった学生運動に、冷水を浴びせる形になったことを残念がる支持者も少なくない。

彼らの行動が香港など他国にも波及するほどの影響力を持っていただけに、陳氏のあまりにも正直すぎる行動が、今後の活動全体にどう影響していくか。盛り上がった学生・若者たちの政治参画について、早くも「仕切り直し」の時期に来てしまったようだ。

福田 恵介 東洋経済 解説部コラムニスト

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ふくだ けいすけ / Keisuke Fukuda

1968年長崎県生まれ。神戸市外国語大学外国語学部ロシア学科卒。毎日新聞記者を経て、1992年東洋経済新報社入社。1999年から1年間、韓国・延世大学留学。著書に『図解 金正日と北朝鮮問題』(東洋経済新報社)、訳書に『朝鮮半島のいちばん長い日』『サムスン電子』『サムスンCEO』『李健煕(イ・ゴンヒ)―サムスンの孤独な帝王』『アン・チョルス 経営の原則』(すべて、東洋経済新報社)など。

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