現在すべての市町村で、子どもを対象とした何らかの医療費助成制度がある。外来、入院とも中学卒業まで対象になることが最も多い。助成の対象、金額などは市町村で独自に決めることができるため、内容はさまざまである。
財政状況が厳しくなる中、国は助成による受診回数の増加、医療費増大を懸念している。その結果、助成制度のある自治体の場合、市町村が運営する国民健康保険制度の国庫負担を減額するという「ペナルティ」を与えてきた。
もちろん自治体側は反発し、2018年度より未就学児を対象とする医療費助成については、国庫負担を減額しないことになった。しかし、こういった一連の動きが起こっていた間も、政策の効果に関してデータに基づいた議論はほとんど行われていないのは、残念と言わざるをえない。
そもそも、全国の自治体で導入が広がる、子ども医療費助成の目的は何であろうか?
出産を促すといった、少子化対策が掲げられることもある。だが、出産には所得や学歴、就労状況などの個人属性や、保育園整備といった子育て支援政策の影響があることが知られている。また、出産後の子どもの医療費の負担が少子化対策にどのように影響するかは研究もなく、実際の効果のほどはわからない。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら