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イェール大・伝説講義 『「死」とは何か』の要点を理解しよう 知って得する哲学② 縮約版でも384ページ

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Shelly Kagan/シェリー・ケーガン
米イェール大学教授。道徳哲学・規範倫理学の専門家。「死」をテーマにした講義は二十数年間、開講されている。この講義をまとめた本は中国、韓国などでもベストセラーに。

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発売5カ月で販売部数16万部を超えるヒットを飛ばした哲学書が『「死」とは何か』である。

この本は、道徳哲学、規範倫理学の専門家として知られる米イェール大学のシェリー・ケーガン教授が、23年連続で行っている人気講義をまとめた1冊だ。本国米国ではさほど売れていなかったのだが、韓国で一足先に10万部を超えるヒットを記録したことから、日本でも発刊されるに至った。

死への根本的疑問を哲学的に考察する

内容は、題名のとおり「死」について考えるものだ。しかし、「自分の死を粛々と受け入れる」、あるいは「他人の死とどう向き合うか」といったもので、死に直面したときの精神論はいっさい語られない。「そもそも『死』とは何なのか?」との根本的な疑問について、ケーガン教授が自ら投げかけた問いを一つひとつ考察していく。

例えば、前半の問いは、「何をもって『死』とみなすか」。

一般的に、人間は身体の機能が停止したときに「死んだ」と見なされる。しかし、その機能とは、心臓や肺を動かしたり、食物を消化したりする身体機能(B機能)を指すのか。それとも物事を認知する機能(P機能)を指すのか。通常はB機能とP機能が同時に失われるが、異常な場合は、P機能だけ失われることがある(下図の※1の状態)。その場合、人間は生きているのか、死んでいるのか。もしP機能の喪失=死だとしたら、人間はいつからいつまで生きているのか──。このような疑問を丁寧に考察する。

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