

時代が、大きな転換点を迎えている──。哲学人気が今、再燃している理由はそれだ。トリガーになったのはテクノロジーだ。20世紀終盤、バイオテクノロジーとITが急速に進化、浸透した。
それは、今までの常識では対応しきれない課題の表出でもあった。「不老不死の人間をゲノム編集で創り出すことに問題はないか」「AI(人工知能)を積んだ自動運転車が事故を起こしたとき、責任や処罰は誰がどう負うのか」というような課題である。
この激しい変化の渦中にいるわれわれは「この先どうなってしまうのか」「どの方向へ進めばいいのか」と多大な不安を感じ始めている。だからこそ、哲学に「羅針盤」の役割を求めているのだろう。哲学の強みは、その領域が広いことだ。philosophyはギリシャ語の「philein(愛す)」と「sophia(知恵)」に由来する。境界なく、本質的な知を愛することなのだ。
[哲学人気のポイント]
□ 技術の進展で先行きが不透明
□ 多様性の先に共通の真理がある
□ ガブリエルなど若手哲学者が活躍
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