新疆ウイグル自治区で100万人規模の少数民族が「再教育キャンプ」に強制収容されている。再教育後は、施設近くの工場での強制労働に動員するなど、問題は深刻だ。
新疆ウイグル自治区の各地に建設された、「再教育キャンプ」と呼ばれる大規模な収容施設が世界的な関心を集めている。
収容施設は2016年初頭から建設が始まり、現自治区党書記の陳全国氏が就任した同年夏から自治区全体に広がったといわれる。18年夏には国連人種差別撤廃委員会でこの問題が取り上げられ、世界的にも関心が高まった。当初施設の存在を否定していた中国政府もその後は「再教育のために必要な施設」という主張に転じ、同年10月には施設建設の法的根拠となる「新疆ウイグル自治区脱過激化条例」の改正を行っている。しかし、そこに収容されていた当事者の証言は、収容施設の実態が中国政府の主張するものとは懸け離れていることを示している。
18年11月、アムネスティ・インターナショナル日本などの主催で、カザフ国籍を持つウイグル人実業家、オムル・ベカリ氏の講演が東京と大阪で行われた。筆者も大阪の講演会に参加し、オムル氏の語る収容所における凄惨な体験、とくに民族としてのアイデンティティを否定され、中国共産党と習近平国家主席への忠誠を毎日繰り返し唱えさせられる、という証言に言葉を失った。「再教育」のための施設に著名な大学教授やジャーナリスト、作家など社会の第一線で活躍する人々が多数収容されていることにも衝撃を受けた(水谷尚子「ウイグル収容施設の惨状」『週刊金曜日』18年12月14日号)。
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