WTO脅かす米中対立 ファーウェイ事件で緊迫
有力中国企業の副会長逮捕で、激化する米国と中国の摩擦。自由貿易体制の揺らぎは日本を直撃する。
犯罪容疑の裏には、政治的思惑があるのか。米国はカナダ当局に要請して、中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)副会長兼CFO(最高財務責任者)である孟晩舟(もうばんしゅう)氏を逮捕した。ファーウェイはこれまで、米国が「知的財産を盗み、技術移転を強要する中国企業」(ジョン・ボルトン米国家安全保障担当大統領補佐官)として、やり玉に挙げてきた企業だ。
孟氏が逮捕されたのは、イランとの金融取引に対する米国の制裁を回避しようとする仕組み作りに手を貸した容疑。これにより孟氏は2010~14年に少なくとも約1億ドル(約112億円)を受け取っていたという疑いも出てきた。
孟氏の逮捕で、「米中貿易摩擦が深まり、世界景気を減速させるのでは」と悲観され、株価は暴落。米ダウ平均株価は12月6日に一時前日比785ドルも下落した。
今回のファーウェイのように、イランとの取引を理由に米国からにらまれた中国企業はすでにある。通信機器大手の中興通訊(ZTE)だ。同社は今年4月、イランなどに米国製品を違法に輸出し、米国政府に虚偽の説明をしたとの理由で、米国企業との取引を7年間禁止する制裁を米国政府から科された。その後、10億ドルの罰金支払いや経営陣の刷新を条件に、7月に制裁が解除された。しかし、この解除には今でも米議会を中心に反対する声が根強い。
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