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総合的な知の技法 「表現法」を学ぶ(14) 表現法の基本は美文や印象ではない

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筆者は、作家の中では多作のほうだと思う。現在、月平均90の締め切りを抱え、月産の原稿量は400字換算で1200枚程度だ。それ以外に単行本の執筆がある。これが筆者の能力の限界で、これ以上の量の仕事を引き受けることはできない。

外務省時代に短時間で大量に書く仕事をしたので、その経験が作家になってから生きている。東京の外務省国際情報局分析第一課で主任分析官を務めていたときには、平均して月に2回はモスクワへ、半年に1回はテルアビブへ出張した。そういうときは1日に5〜6人の政治家やインテリジェンス関係者、学者と会う。テルアビブの場合は何でも指示できるような後輩が大使館にいなかったので、公電は自分でワープロのキーボードをたたいて書いた。仕事が終わって、夜10時過ぎにホテルに戻ってから公電を起案するので、半徹夜(睡眠時間2時間程度)をしても400字で30枚くらいの公電しか書けない。

これに対してモスクワでは、筆者の考えとロシア事情、北方領土交渉の経緯をよく理解した後輩がいたので、一部の公電は筆者が内容を口述して後輩に書かせた。この後輩はタイピングが速かったので、二人で100枚の公電を起案することも可能だった。こういう作業ができるのは、筆者が話すことの内容を完全に理解しているアシスタントがいるときに限られる。

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