日本でマルチステージの生き方を実践するとき、何が障害になるのか。
公的年金
引退の延期と相性のよい制度
『ライフ・シフト』では、高齢化により公的年金の給付が減るため、老後の生活資金確保に向け、マルチステージの働き方で引退時期を遅らせることが提唱されている。日本の公的年金はどんな状況だろうか。
世界で最も高齢化が進む日本も当然、給付が減る方向だ。日本の公的年金制度には「マクロ経済スライド」という給付の自動調整機能が組み込まれている。現役人口の減少や平均余命の延びに合わせて、年金財政の収支が均衡するように年々給付を減らしていく仕組みだ。
5年に1度行われる財政検証(2014年)によると、将来の給付水準(所得代替率)は2〜3割の減少となりそうだ。所得代替率はあくまで給付が現役世代の所得の何割になるかを示すものであり、将来の平均賃金が大幅に上昇すれば、年金額は増える可能性もあるが、経済の低成長が続く中でそうした期待は抱きにくい。
一方、引退を遅らせることで老後資金を厚くするという『ライフ・シフト』の処方箋に対し、日本の公的年金制度は相性のよいものとなっている。ポイントは、世界でも珍しい「受給開始年齢自由選択制」だ。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら