日本で考え方は根づくのか。どうすればキャリアの型が変わるのか。識者に聞いた。
「能力は関係ない大都市から飛び出せ」
ミスルトウ 社長 兼 CEO 孫 泰蔵
いろいろな国を巡ると、日本の大都市に暮らす人々がいかに抑圧されているかを痛感する。通勤ラッシュでもみくちゃにされ、無味乾燥なオフィスで働き、生産性の低い会議で疲弊する……。こういう窮屈な日常を我慢しなければ稼げない、生きていけないと思い込んでいる人は少なくない。
でも情報技術がどんどん進化し、多くの仕事は場所を選ばずできるようになった。『ライフ・シフト』は働き方や採用方法など、20世紀に作られたあらゆる社会システムが陳腐化していることを指摘し、そこから脱出して人生を変えるための具体策をたくさん提案しているから、鬱屈した気持ちを抱える人々の共感を得たのだろう。
人間は行動もメンタルも環境に大きく左右される。心理学、経済学では「経路依存性」(パス・ディペンデンシー)というけど、人間は一度慣れた環境を変えたくないと思う性質がある。いつもと違うことをするのは不安だし、無意識のうちに嫌だなと思ってしまう。
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