高給取りの印象が強い医者。だが年齢、勤務地、診療科によって実態はバラバラだ。
医者人気が根強い一因には、高給のイメージが強いことも挙げられよう。では実際どうなのか。厚生労働省の「2016年賃金構造基本統計調査」によれば、医師の平均年収はパイロットに次ぐ第2位の1240万円と、確かに高い。ただし、いきなり高い年収を得られるわけではない。
医師国家試験に合格すると、最初に初期研修と呼ばれる2年間の臨床研修が待ち受ける。株式会社産労総合研究所で病院経営の専門誌『病院羅針盤』を編集する小林正明氏によれば、04年に現在の医師臨床研修制度が始まるまでの初期研修医の平均年収は「265万円ほどで、ほとんどの研修医がアルバイトを行っていた」という。
その後、新研修制度のスタートに当たって国は、研修医がアルバイトせずに研修に専念できる環境を作るため、年収360万円程度の給与保障を研修病院に対して求めた。一方でアルバイトは原則禁止に。その結果、11年に厚労省が行った「臨床研修病院における研修医の処遇」の調査では、研修医1年次の平均年収は435万円、2年次は481万円となっている。20代の若者には十分な年収だが、高給取りとはいいにくい。
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