求められるのは医師が安心して地域医療に飛び込める環境整備だ。
医療界全体を見渡すと、かねて指摘されてきたのに、なかなか解決できない問題が存在する。医師が都市部に偏り、地方で不足する地域偏在はその典型だ。
下の図は複数の市町村からなる2次医療圏ごとの人口10万人当たりの医師の人数を示したもの。たとえば愛知県では、名古屋市がある尾張東部医療圏と尾張中部医療圏では、同じ県内でも医師数に4.6倍もの開きがある。東京都の場合、区中央部と島しょではその格差は10.6倍に達する。ちなみに全国的には西高東低の傾向が顕著だ。
医師が都市部を選ぶ理由としては、設備が充実し、かつ専門性を磨けるなどの人気ブランド病院が都市部に集中していることや、子どもの教育などの生活環境が整っていることが考えられる。
これに2004年度から始まった新医師臨床研修制度が、医師の地域偏在に拍車をかけたという指摘もある。
かねて出身大学の病院が中心だった初期研修先を、同制度導入後は自由に選べるようになったため、都市部の市中病院を選択する研修医が増加。その結果、大学病院が医師不足に陥り、地方に派遣していた医師を引き揚げたため、地方の医師不足が深刻になったというものだ。
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