今の医学生が第一線で働く30年後にどうなるか。専門家が描く医療の未来図。
6年間の医学部教育を終えて国家試験に合格した医師が、それぞれの領域で一人前となるには10年、20年の歳月がかかる。今から30年後には、来春医学部に入学する医学生たちが、押しも押されもせぬベテラン医師として医療界を支えているはずだ。そのときに医療はどう変化し、求められるのはどんな医師像だろうか。
社会保障の柱である医療は、さまざまな外的環境の影響を受ける。このため、この難問に答えることは容易ではない。一つ確実なのは、日本が今以上の超高齢社会に突入することだ。すでに人口は減少に転じているが、合計特殊出生率(1人の女性が生む子供の数)が現状(1.44人)のまま推移すれば、2050年には人口は1億人を割り、約3人に1人が65歳以上となる時代を迎える。
生活習慣を改善すれば認知症患者も減らせる
超高齢社会で増えるのは、認知障害を抱える人だ。日本の認知症患者は、50年には国民の約10人に1人になると推計されている。この値は、日本が世界に誇る疫学研究、九州大学医学部の久山町研究から導かれている。
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