「ナイス・トゥー・ミート・ユー(はじめまして)」
初夏を思わせる陽気の金曜日の午後、ニューヨーク・マンハッタン5番街のカフェで、ジュリエンヌ・エドワーズさん(28)は、そう言って、ほほ笑んだ。
全米有数のがん専門病院であるマンハッタンのメモリアル・スローン・ケタリングがんセンターで3カ月に一度の検診を終えたばかり。明るく凛(りん)とした姿のエドワーズさんだが、実は最近、自らの病気とともに苦悩を深めていることがある。5月4日に米下院を通過した「オバマケア(米医療保険制度改革)撤廃・代替法案」(通称「トランプケア」)の先行きだ。
健康的弱者が危惧するトランプケアの行方
エドワーズさんは2015年5月にロースクールを卒業。弁護士試験を5日後に控えた同年7月のある日、猛烈な腹痛に襲われ、救急病院で6時間に及ぶ手術を受けた。26歳の若さでは珍しいステージ4の大腸がんだった。
開腹手術の結果、卵巣への転移も判明した。当時、同居中のフィアンセがいたが、大腸がんの摘出に加え、左右両方の卵巣の切除で、出産できない体になった。体のほてりなど、卵巣摘出による「更年期障害」にも悩まされた。術後の回復を待って、半年間のケモセラピー(化学療法)を開始。冷たいものを飲むと指がズキズキ痛むなど、神経障害に加え、言いようのない脱力感にも苦しんだ。
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