
「移動の時代」のあり方に オリジナルな思考を展開
評者 北海道大学大学院教授 遠藤 乾
グローバルな「移動の時代」にあって、どこかの国の成員であること(シティズンシップ)の意味が変わった。
英国で学位を取り、英語の単著を持つ著者は、本邦初の単著で、21世紀におけるその意味変容とあるべき姿を追究する。
かつては、国家と市民は基本的に一対一で対応しており、定住の中で権利と義務の関係を結んだ結果、人々は国民として、国家の保護を受け、安全な日常を手にするとされた。
移動が常態になるとともに、そうした単純な理解は幻想となり、新たな階層化のポリティクスが進行する。
一方で、離脱する成功者がいる。移動の能力を発揮し、元の国から浮遊した21世紀の「不在地主」として、自らに有利な国に身をおく。
他方、越境せず、取り残され、国民でありながら安全な日常を送れない落伍者も各地にいる。
その間には、移動の末、階層を昇る人、沈む人、あるいは旧来の定住型の国民でいながら、バーチャルに移動し、適応していく人、そうできない人がいる。
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