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地球温暖化問題に市場の力で解決策を説く 書評:国境を越える移動の常態化と権利保護とは

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移動と生存――国境を越える人々の政治学
移動と生存――国境を越える人々の政治学(岩波書店/224ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
からたに・りえこ●関西大学政策創造学部教授。専門は国際関係論、国際政治学。神戸女学院大学文学部、神戸大学法学部卒業後、上智大学で修士号、英オックスフォード大学で博士号(D.Phil. 国際関係論)を取得。2007年から現職。共訳書に『長い20世紀』。

「移動の時代」のあり方に オリジナルな思考を展開

評者 北海道大学大学院教授 遠藤 乾

グローバルな「移動の時代」にあって、どこかの国の成員であること(シティズンシップ)の意味が変わった。

英国で学位を取り、英語の単著を持つ著者は、本邦初の単著で、21世紀におけるその意味変容とあるべき姿を追究する。

かつては、国家と市民は基本的に一対一で対応しており、定住の中で権利と義務の関係を結んだ結果、人々は国民として、国家の保護を受け、安全な日常を手にするとされた。

移動が常態になるとともに、そうした単純な理解は幻想となり、新たな階層化のポリティクスが進行する。

一方で、離脱する成功者がいる。移動の能力を発揮し、元の国から浮遊した21世紀の「不在地主」として、自らに有利な国に身をおく。

他方、越境せず、取り残され、国民でありながら安全な日常を送れない落伍者も各地にいる。

その間には、移動の末、階層を昇る人、沈む人、あるいは旧来の定住型の国民でいながら、バーチャルに移動し、適応していく人、そうできない人がいる。

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