難民危機と英国のEU(欧州連合)離脱という惨事は、外国人排撃を唱える国家主義者を勢いづかせた。来年のフランスやオランダ、ドイツでの総選挙で、国家主義者たちは勝利を目指すだろう。
EU加盟各国はこうした脅威に対し、結束するのではなく、むしろ協力関係を徐々に解消している。そして国家主義者たちは国境にフェンスを建設するような、利己的で隣国に負担を押し付ける移民政策を進めている。その結果、EU分断は進み、加盟各国は打撃を受け、グローバルな人権基準は破壊されるだろう。
難民危機に対する現在の対応には四つの欠点がある。第一は、地中海東部からの難民流入に歯止めをかけるべく今年になってEUとトルコとの間で合意がなされたが、それが欧州の総意に基づかず、ドイツのメルケル首相が主導したものだったこと。第二は、深刻な資金難に見舞われていること。第三は、ギリシャを不適切な施設を抱える事実上の留置場にしてしまったことだ。
この記事は有料会員限定です。
ログイン(会員の方はこちら)
有料会員登録
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
トピックボードAD
有料会員限定記事
無料会員登録はこちら
ログインはこちら