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先進国に試される良識 虚実がない交ぜの移民問題

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多くの国で移民に関する議論が湧き起こっている。移民問題は世界の政治・経済に多大な影響を及ぼすが、事実というより感情によって議論される傾向にある。そのためメリットやデメリットを含む建設的な議論は進んでいない。

たとえば欧米における大衆主義の指導者は、水増しされた数値や誇張した表現を用い、人々の不安をあおって移民の議論を操作しようとしている。こうしたレトリックは、多くの移民の心を傷つけている。

英国では6月に行われたEU(欧州連合)離脱をめぐる国民投票の前後で、移民に反発する内容の通報が前年比で約4割増加したという。タブロイド紙と大衆政治家が躍起になって描いた、歪められたビジョンに影響されたのである。

反移民感情は世界中に広がっている。大衆主義者に扇動され、排他的な思想や保護主義政策を容認すれば、結末は悲惨なことになろう。今こそ理性的な政治的指導者やマスメディアが、移民に関する建設的な議論を主導すべきである。

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