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『保守主義とは何か』『失業なき雇用流動化』 『オレ様化する人たち』ほか

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保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで (中公新書)
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うの・しげき●東京大学社会科学研究所教授。1967年生まれ。東大法学部卒業。東大大学院法学政治学研究科博士課程修了。博士(法学)。専攻は政治思想史、政治学史。2011年から現職。著書に『政治哲学へ 現代フランスとの対話』『トクヴィル 平等と不平等の理論家』など。

名ばかり保守が増えていないか考えさせられる

評者 BNPパリバ証券経済調査本部長 河野龍太郎

近年、保守を自認する人が増えている。しかし、単にリベラルでないというだけで、反動的、復古調的な主張も少なくない。

本書は、気鋭の政治哲学者が保守主義を平易に解説したものだ。過去の優れた保守思想に比べ近年劣化している、という危機感から筆が執られた。保守主義の元祖でフランス革命と闘ったバーク、社会主義と闘ったハイエクやオークショット、大きな政府と闘ったフリードマンやノージック、さらにネオコンや日本の保守までを網羅する。

保守主義が劣化したのはなぜか。保守主義が生まれた近代は、フランス革命を皮切りに人類が自由や民主主義を追求した進歩の時代だった。保守主義はあくまで進歩主義への対抗理念であり、その対抗理念が急速に衰退したことで表面上、優勢にはなったが、位置づけそのものが大きく揺らいでいるのである。

それでは保守主義とは本来どのような考え方か。バークらの初期の思想を元に、「具体的制度や慣習を保守し、それらが歴史の中で培われたことを重視し、さらに自由維持を大切にし、民主化を前提に秩序ある漸進的改革を目指す考え」と整理する。バークがフランス革命を非難したのは、人間の理性は限られ、抽象的理念を振りかざし歴史の試練に耐えてきた諸制度を破壊することを問題視したためだ。社会は現世代だけで成立するのではなく、過去と現在と未来のパートナーシップ事業なのである。立憲主義を忘れた名ばかり保守が増えていないか。

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