
政治を語るにもゲーム理論が不可欠に
評者 中央大学商学部教授 江口匡太
1990年代以降、経済学者による政治の分析が盛んに行われてきた。小選挙区制や比例代表制のような選挙制度の違いが政治家や有権者の行動にどのような影響を与えるのか、米国に代表される大統領制と英国に起源をもつ議院内閣制と、どちらが政府の財政規模を大きくする傾向にあるのか、など理論的にも実証的にも研究が蓄積されてきた。2000年代初頭には大学院レベルのテキストが出版されるなど、政治の経済分析は既に確立した分野になっている。
こうした国際的な研究の潮流は、当然ながら国内にも影響を及ぼすようになった。国内の政治学者が近年執筆した定評のあるテキストは、いずれも経済学的なアプローチを大きく取り入れたものになっている。より具体的には、ゲーム理論に基づく分析が欠かせなくなっている。一昔前なら、こうした分析が「合理的選択理論」と一括りにされ、ある特殊な学派としてはみ出し者のような位置づけだったことを想うと、隔世の感がある。
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