鈴木会長は自らの人事案を否決され、あっさり退任。何がカリスマを追い込んだのか。
「本当に投票ということでいいんですか?」──。
4月7日午前9時30分、東京・麹町にある本社で開かれたセブン&アイ・ホールディングス(HD)の取締役会。議題は、セブン‐イレブン・ジャパン(セブン)社長の井阪隆一を退任させ、副社長の古屋一樹を昇格させる人事案だった。取締役会の意見は割れていた。冒頭のように問いかけたのは、社外取締役の伊藤邦雄・一橋大学大学院特任教授だった。
社長である村田紀敏の答えは「はい。議論してきましたから、投票です」。採決は、HDの取締役会で前例のない無記名投票。この方式は会社側が決めた。取締役CAO(最高管理責任者)で、新体制では副社長に昇格する後藤克弘は「結果がどちらになっても、禍根を残さないような形にしたかった。また、プレッシャーを感じることなく意思表示できる環境も必要ではないかと考えた」と語る。
ある社外取締役は「これまでは村田さんが議題を説明して、ほかの役員がけっこうですと言う形で終わる。意見が割れたことなどなかった」と話す。取締役会のすべては鈴木のペースで進められていた。本人の都合次第で開始時間が前倒しになることもしばしばで、社外取締役は皆、定刻の30分前には集合していた。
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