世界で年間40億個(本誌推定)の荷物を取り扱うインターネット通販の巨人は、ついに米ウォルマートの時価総額を抜いた。次に仕掛ける一手を占う。
(本誌:二階堂遼馬、前田佳子、長谷川 隆、又吉龍吾、緒方欽一、福井 純、山内哲夫)

創業から20年が経ったアマゾン。2015年の売上高は1070億ドルと大台を突破し、eコマースの世界に金字塔を打ち立てた。
「20年前の私は、自ら車を運転して郵便局へ荷物を運んでいた。いつかフォークリフトを持つことが夢だった」
1月28日にジェフ・ベゾス創業者兼CEOは、決算と同時に発表したプレスリリースにこうしたコメントを寄せた。ベゾス氏が感慨にふけるのも無理はない。今やアマゾンは年間3億人の利用者を抱え、推定20億の品目、年間合計で40億個の荷物を扱う超巨大企業へと変貌した。
昨年7月には、時価総額で米小売り最大手のウォルマートを抜き去った。ウォルマートは売上高4856億ドル(15年度、約54兆円)に上る“小売りの王”。アマゾンに逆転を許したのは、流通の趨勢を象徴するかのような出来事である。
ネット通販では世界中のライバルたちを圧倒し、向かうところ敵なしだ(図3)。米国以外の欧州でも高いシェアを誇り(図4)、アマゾンの経済圏は世界で広がり続けている(図7)。
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