新年早々、世界の株式市場に混乱が広がっている。
その背景として、第一に中国での景気減速と上海株の低迷が挙げられる。中国の国家統計局によれば、2015年の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比6.9%だったとされる。しかしこの数値を信頼している世界の投資家は少ない。鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資といった主要経済指標は軒並み前年を下回る伸び率であり、特に深刻なのは成長を牽引してきた不動産投資である。14年度は前年比10.5%増だったが、15年度は同1.0%増へ、極端に落ち込んだ。
かつて李克強首相自らが、「中国のGDP統計は人為的で信用できない」と述べていたことがウィキリークスで暴露されたのは有名な話だ。また中国の工業部門企業利益は昨年1~11月の累計で、前年同期比1.9%のマイナスが続いている。つまり、ファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)の劣化が続いているにもかかわらず上海総合指数が昨年6月に5178ポイントの高値を示現したのは、マネーの力による典型的な過剰流動性相場だった。そのバブル相場の崩壊に対し、中国当局は大株主の株式売却禁止、売買の一時停止、直接的な株式買い支え策などを発動し、上海株が昨秋からやや持ち直す動きもあった。しかし、経済の実態と乖離した株価に持続性があるはずがない。政治と同じように、株式市場も共産党のコントロール下に置くことができるとの認識は幻想だった。そして年明けとともに、再び上海株は急落を始めた。
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