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『「失われた20年」を超えて』『民を殺す国・日本』 『保守再生の好機』『「偶然」の統計学』

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「失われた20年」を超えて (世界のなかの日本経済:不確実性を超えて)
「失われた20年」を超えて (世界のなかの日本経済:不確実性を超えて)(NTT出版/274ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
ふくだ・しんいち●東京大学大学院経済学研究科教授。専門はマクロ経済学、金融。1960年生まれ。東大経済学部経済学科卒業。米イェール大学大学院博士課程修了。イェール大学でPh.D.を取得。著書に『価格変動のマクロ経済学』、共著書に『マクロ経済学・入門』など。

ミクロ的分析が中心 真因は生産性の低迷に

評者 東洋英和女学院大学教授 中岡 望 

評者は大学で現代日本経済を教えている。新学期が始まるたびに悩むことがある。よいテキストがないことだ。何冊か試行錯誤的に使ってみたが、学生に薦めることができる教科書はなかった。バブルの発生と崩壊、バブル後の金融危機、デフレ問題など、個別のテーマに関しては優れた分析や本があるが、全体を見通せる好著はなかった。本書はバブル崩壊から現在に至る「失われた20年」を取り上げており、期待して読み進めた。

著者は「バブル崩壊後の一九九〇年代における不良債権問題に対する処理の遅れが、二〇〇〇年代に生産性の伸び悩みやデフレ現象につながったという連続性に注目することが、日本の長期低迷の真因を探るうえでカギとなる」と指摘する。ポイントは、日本経済の問題は高い生産性向上を達成できなかったことにあるということだ。生産性向上は企業の設備投資や技術革新によって達成される。だが、企業はバブル期の遺産として三つの過剰(債務、雇用、設備)を抱え、設備投資も減価償却内の更新投資に終始した。銀行も不良債権処理と自己資本比率維持のために“貸し剥がし”をする一方で「ソフトな予算制約」のもとに“追い貸し”をしてゾンビ企業の温存を図った。それが生産性向上を停滞させた。

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