ノンフィクションライター 高橋幸春氏に聞く 『だれが修復腎移植をつぶすのか 日本移植学会の深い闇』を書いた

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2005年、愛媛県宇和島市で起きた臓器売買事件。腎臓移植手術の執刀医だった万波(まんなみ)誠医師は程なく無実が立証されたものの、それは次なる深い闇への導入線にすぎなかった。腎不全による人工透析患者数は全国で31万人。そのうち、より根本的な治療となる腎移植を受けられるのは希望者のわずか1%。絶望的な需給ギャップを緩和する修復腎(病気腎)移植を先導してきた万波医師と、それに傲然と立ちはだかる日本移植学会の10年間の記録。

だれが修復腎移植をつぶすのか――日本移植学会の深い闇
だれが修復腎移植をつぶすのか――日本移植学会の深い闇(東洋経済新報社/224ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。

──そもそも修復腎移植とは?

がんの部分を切除した腎臓を移植に回す方法で、日本では日本移植学会(以下、移植学会)の働きかけで原則禁止されています。この禁忌を破り4センチメートル未満の小径腎がんを切除した腎臓を移植して、海外で注目されてきたのが宇和島徳洲会病院の万波医師と、仲間の医師たちでした。

万波さんは陰で売買された臓器と知らず執刀したことで事件に巻き込まれたのですが、その際病院側が、過去に修復腎を移植した例が11件あった事実を公表したことで、マスコミの目は一気にそちらへ飛び火します。06年の万波バッシング報道は異様ともいえるものでした。

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